逢いたい
日本各地を飛び回り、良くて一泊忙しくて日帰りと言う過酷なロケの中、ぽかりと空いた空白の時間。 自分達のフィールドである東京から遠く離れたロケの地で、ふらりと入った小さな居酒屋。 暖簾を潜ると溢れて来るのは、張りつめていた […]
日本各地を飛び回り、良くて一泊忙しくて日帰りと言う過酷なロケの中、ぽかりと空いた空白の時間。 自分達のフィールドである東京から遠く離れたロケの地で、ふらりと入った小さな居酒屋。 暖簾を潜ると溢れて来るのは、張りつめていた […]
ずっと守られていたんだ。 気付かない振りで、何かあっても知らん顔。 都合の悪い事は、知らないよ、俺のせいじゃないもん。 一所懸命やったんだよ? だから、ねえ、いいでしょう? その度にやんわりと向けられる優しい笑みに胡座を […]
今年のツアーで、ご多分にもれず始まったMC最中のリーダーいじりの中、『俺はプライベートでもリーダーって呼ぶね』そう嬉し気な表情で口火を切った松岡の言葉を受けて、山口が言った。 「俺はプライベートではシゲ、シゲって」 録画 […]
ごそり、ごそりと先ほどから傍らで蠢く男の影に、国分は小さくため息をついて文庫本から視線を離した。 太腿の辺りにぶつかる膝が痛いようなくすぐったいような、兎に角、先刻から一向に集中できないのだ。 「おい」 「はい?」 見上 […]
信じらんねえよね ほんと。 そう笑いながらどさりとパイプ椅子に腰を降ろした山口に、城島は何やねんな 自分まで と、まだ僅かに熱を持った料頬をぱちりと叩いた。 朝ドラに出演のオファーが来たのだと告げたと同時に、大の男が四人 […]
たんたん っと勢いのある音が鼓膜を震わせ、それに合わせるように、とっと軽やかな音と共に伸びやかな四肢が空を舞う。 基本的なステップや定められた動きではなく、自由気侭に、だが、何の制約も感じさせない目の前の男の動きは、ここ […]
すごいっすよね ほんのりと温かな日射しに包まれた縁側で、蕎麦殻で入れた茶を啜る城島が、傍らで同じように湯飲みを弄ぶ末っ子の横顔を不思議そうに見上げた。 「何が凄いんや?」 「自然の力って凄いじゃないですか」 切れ長の眼を […]
なだらかな曲線を描く薄い背が視界を過る。 いつもは頭一つ分上から見下ろすあの人を背後から見上げるポジション。 手持ち無沙汰にスティックをくるりと回し、暇なんだよ というポーズを作りながらも追い駆ける一つの背。 四角く閉じ […]
今年、松岡が耳にピアス穴を3つ開け、男はやっぱり拠点がないとね とマンションを買った。 リーダーにのみ反抗期で、一緒にいたら気まずいだのしんどいだの言いながら、長瀬のリーダーいじりのコメントが雑誌やテレビの画面でよく見ら […]
長く続くオフホワイトの廊下は、どこか無機質な印象を与える。 窓から落ちた陽光を帯びて床にしなやかにのびる影は、通い慣れた学校となんら変わるはずもないのに、未来へ続く溢れんばかりの夢と希望、そして傍若無人なまでの無邪気さを […]