Songs

世界は音に満ちている   誰の言葉だったかは、覚えてない。 ただ、ああ、そらそうだろうな、と思った事は覚えている。 だって、ほら、世界はこんなに音で溢れているのだから。     とんとんとん […]

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音容-4-

ほろりと溢れた一つの音が、次の音へと連なって。 一つ、二つと音が増え、生まれた音が一つの旋律に姿を変えて新たな楽が満ちていく。     ぐるりと低くはない天井を見上げながら、まだ、誰も居らぬ店内の中央 […]

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音容-3-

楽しい時間というものは夢の如く儚くて、後に残るは寄る辺をなくした哀れな子供。 誰もおらぬ店の真ん中で、見上げる先は熱の残らぬライブの香り。     あの頃、と誰に言うでもなく小さく口のなかで呟きながら […]

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音容-2-

梅雨の晴れ間なのか、それとも空梅雨か。 城島の初出勤の日は、初夏と呼ぶにはふさわしい穏やかな陽射しが緑に眩しい朝だった。   明朝の九時に店に来るようにと言われた城島を出迎えてくれたのは、昨日出会った松岡と同じ […]

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音容-1-

今から遡る事、丁度5年前の今日、一人の男が死んだ。 日付けが変わる境目の時刻に起こった足下の不安定な道端での転落死。 自殺なのか、はたまた事故なのか、判断のつかない死。 場所柄の為か、それとも事故の起こった時刻の所為か、 […]

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