Jyoshima & Yamaguchi

いつも僕は君から一番遠い場所にいる

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入院したと聞いた。 人づてでさえなく、ふと偶然つけたラジオの中で。

あいつの友人というパーソナリティが、話の途中にふと漏らした事実。
同じ場所に立ち、同じものを見ているつもりでいたのに、気が付けばあいつは傍にいなくて、今、この瞬間、何をしているかすら知らない事実に気付く。
三十路半ばをこえた男が、同じように三十路半ばをこえた男の日常の詳細を知っていたらそれこそ問題なのかもしれないけれど。

でも。

少し前、二人で受けたインタビューでは、いつもどおりの健啖家ぶりを発揮していたのに。
なんで? ふつりと浮かぶのは泡のようなつかみきれぬ怒りのようなもの。
体の不調を隠そうとした男への、否、そんな彼の変調に気付けなかった自分への。 ずっと傍にいるつもりだった。 言葉などなくてもお前のことはわかるつもりやったのに。

ふと気が付けば、いつも僕は君から一番遠い場所にいる

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