Jyoshima & Yamaguchi

猫の日に

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しなやかな体躯をくっと伸ばし、周囲の事に気づく風もなく、陽光を楽しむように伸びをする。
キャラメル色の透き通った眼をくるりと回し、一度ふるりと体を震わせると、あふりと小さな欠伸を一つ落として、再び自分の世界に入り込む。
その柔らかさに触れたくて、つと伸ばした指はするりと交わし、素知らぬ振りを決め込んで横目で見ると、ほんの少し拗ねたような色を浮かべた眼でちらりとこちらを振り返る。
一人を好み、独りを嫌い、自分のペースで周囲の人をくるりくるりと振り回し、寂しくなったら相手の思惑等関係なく、喉を鳴らすようにしてすり寄ってくる。
自分勝手で、我がままで、腹立たしくて。なのに、悔しいかな、惹かれてしまうその存在。

「犬の方が好きなはずなのにな」

思わず溢れた声に、あなたは、きょとんとした面持ちで振り返り

「何と比べて?」

と柔らかな西の言葉で小さく笑う。
ん〜 と曖昧な答えに、なんやねん と邪気もないその笑みの影、ざらりとした舌をぺろりと出して、にまりと笑う日本猫。
にゃおんと笑う、あなたの眼の三日月に魅せられて 今宵もまた、手の届かぬ青い月の夢を見る。

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